『 サルジニアの石 』 " Stones in Sardinia " by Hanabusa Lyu
アサヒカメラ 2月号 グラビア 8 P 掲載
アサヒカメラ 2月号 グラビア 8 P 掲載
イタリアの地中海の島、サルジニア島の東部にある巨大な採石場です。
ここで取れる石は、上質の白大理石で、
主に彫像の材料や建築資材として使われています。
私はここ十数年、石の人体彫像に興味を持ち、パリの美術館やイタリアの小さな美術館、野外墓地などで撮影してきました。
その中には、何百年と変わらず瑞々しさを保つ美しい女性像、
自然に色づいて歴史を感じさせる彫像、風雨にさらされて醜く年老いた彫像など、
さまざまな表情を見せてくれました。
白い大理石の人体彫像には、とても不思議な魅力があります。本当の人肌のように、滑らかさがあり、温かみも感じるのです。
それは、とてつもなく長い年を経て自然が創り出したもの「大地の恵み」だからです。
その彫像を遡って、石の塊にも、そして採石場にも興味が湧いてきたのです。
この巨大な採石場に立ったことは、偶然の重なりによるものです。それは、何かに引き寄せられたような、まさに運命的な出合いで、やっとここに来ることが出来た、という感慨深い想いでした。
「撮影ノート」より